女性が痩せていることが美しい、とされるのは、若い世代に多い意識ですが、
私のような40代、50代でも確かに存在する意識です。
更には、60〜70代の女性でも多くの人が持っている意識だと思っています。
私は高齢者施設の管理栄養士なので、
デイサービスを利用する比較的クリアな高齢者様と接することもありますが、
「栄養士さんはスリムで羨ましいわ」と事あるたびによく言われました。
年代問わず、女性である以上、いつまでも痩せていることへの憧れがあるのです。
この痩せていることへの憧れの根源は、社会問題にもなるように、
女性タレント、今ならK-POPアイドルを代表とする彼女達の痩せた姿にあると思います。
若い世代には特に、彼女たちは幸せを総取りした人生の勝ち組のように映ります。
自分たちと同年代でいながら、
自分とは別世界であるけれど、
キラキラと輝き華やかで笑顔をふりまき、
「かわいい」「きれい」「スタイルがいい」
と賛美されてチヤホヤされます。
そして、
SNSが生活の一部になった今では、
痩せた姿を誇らしげにする、
自分と同じ世界で暮らす、
同年代の女性の写真や動画を目にします。
昔も今も
「痩せていて美しい」
イコール
羨望の眼差し、地位、名誉、財産、羨まれるような素敵な彼氏、不自由のない素敵な暮らし、一緒にキラキラと遊べる友達、
「欲しいもの全てを手にした勝ち組」
のように映るのではないかと思っています。
この痩せた姿への願望は、
先進国でしかない現象で、
発展途上国にはみられない、
ということは容易に想像できます。
これは、大きく分けると
余裕のある裕福な国と、
その日暮らすことに一生懸命な貧困の国の問題ということになりますが、
私は、その国で暮らす、人間の精神的な問題が関わると思っています。
私たち日本人は非常に物質面に恵まれていると思いませんか?
多くのものが100円で手に入り、
修理するより買い替えたほうが安く済む、という物が増えました。
物に溢れ、とにかく豊富です。
人間が物質的な豊かさを追い求めると、
対極にある精神的な豊かさが欠如すると思っています。
これは、私が勉強している薬膳の考え、
陰陽のどちらかが極まれば、どちらかが衰退する、
自然の摂理です。
そう考えると、
わたし達の心の貧しさ、寂しさ、弱さが加速すれば、
地位も名誉も羨望の眼差しも、お金も彼氏も友達もすべてを満たし、
控えめなんかじゃなく堂々とアピールするように、
キラキラと充実していそうな生活をしていて
欲しいもの何もかも手に入れた勝ち組かのように映る
「痩せている女性」
への願望が加速するということになります。
わたし達、彼女達が本当に願う、
本当に手に入れたい精神的な幸福を素直に求めるようになれば、
この陰陽はバランスしていくのだと思っています。
続く。