「カウンセリング」は過食症や摂食障害に効果はあるのか?

私はずっと昔の若い頃、

食べて吐くようになった自分を何とかしようと、カウンセリングを受けていた時期があります。

 

 

某有名大学病院の精神科を受診して、

以後、8年間ほどの付き合いになる先生に出会いました。

 

 

今はもう記憶が薄いけど

大学病院ではロールシャッハ・テストという投影法に分類される性格検査をしたり

ノートに過去のことを書いてきてとか

母を連れてきてと言われたり

毎回、涙を流したような気がします。

 

 

2年間ほど通った頃、先生が独立するということで、先生のクリニックに通うことにしました。

 

先生が独立したクリニックは、こじんまりした普通の家でした。

 

月に1度くらい通ったと思います。

 

私は先生に会うのが楽しみでした。

 

話を聞いてもらえる、自分を受け入れてくれる安心感と

先生の温厚そうな人柄と優しい笑顔に

定期的に来たい場所になっていました。

 

先生は「自律訓練法」を専門としているようでした。

 

自律訓練法(じりつくんれんほう、autogenic training)とは、1932年にドイツ精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツによって創始された自己催眠法であり、リラクセーション技法である。ストレス緩和心身症神経症などに効果がある。

Wikipediaより

 

リラックス方法を私に教えていこうとしていたようでしたが

 

「あまり変わらない」

「笑っちゃってできない」

「家で?やってないよ」

 

あまりにも非協力的な私の態度に匙を投げ

「君は頑固だなぁ」と

私の話を聞いてくれるだけになりました。

 

話を聞いてもらえることだけに高額費用を支払っていましたが、

私にとっては意味のある価値のある時間になっていました。

 

 

先生が膵臓がんだと笑顔で私に教えてくれた後に、

数回通って

先生が亡くなったと聞いてから、

パタリと通うことをやめました。

 

 

先生にカウンセリングしてもらってから約8年間、

先生の専門の自律訓練法を教えてもらうわけでもなく、

食べて吐くことに変わりなかったし、

先生には「もう君はここを卒業だよ」と言われていたけど、

 

なんだか先生から離れがたかったのは、

先生を信頼していた、とはちょっと違って

 

シンプルに先生が大好きだったんだと思います。

 

 

吐くことを責めない

太りなさいとも言わない

のんびり行けばいいと言う

頑張らなくていいと言うのは、腑に落ちなかったけど、

 

 

先生に会えること、話を聞いてもらえることが、

すごくシンプルに私の楽しみになっていました。

 

 

カウンセラーのスキルはとても大切だと思うけど、

カウンセリングをする側とカウンセリングを受ける側と

結局は人と人。

 

高いスキルを持っていても、ロクでもない奴なんて腐る程いるし、

多くの人に支持されて評価の高い人でも、自分にはしっくりこない、ということもあります。

 

 

私の場合、

カウンセリングという心理療法で、

食べて吐くことをどうにかすることはできませんでしたが、

先生に出会えたことに本当に感謝しています。

 

 

この時はまだ分からなかったけど、

先生に会うことが当時の私の下支えだったし、

 

先生のところに通った8年間で

「食べて吐くという現実的な症状」とは別に、

「精神的には食べて吐くことを経つ準備」を、始めていたのだと思っています。

 

 

精神科を受診しようと決めたのも「自分」

病院を選んだのも「自分」

 

「自分」で選択したからこその出会いには、

 

結果や成果を超えた

大きな価値を抱きます。

 

 

「出会いは縁だ」と言うのなら、

「縁を引き寄せるのは自身の行動」なのでしょうね。