食べて吐くことからの解放〜良性腫瘍に救われた話〜

 

話したい事、書きたいことはたくさんあります。

 

 

以前の私と同じように、

「拒食症」と「過食症

食べて吐くといった「摂食障害」に悩んでいる人の目に留まればと思っています。

 

最初に言っておこうと思います。

 

この病から解放されるには「自立すること」だと思っています。

 

それができないと「食べて吐く」の無限ループから抜け出すことはできません。

 

なので、

「食べて吐くという症状」を何とかしようと焦点を当てるのではなく、

焦点の当てどころは「自立」です。

 

 

私は現役の管理栄養士です。

特別養護老人ホームで栄養ケアマネジメントといって、

入居されている方の栄養・食事・健康状態を管理する仕事をしています。

 

いわゆる栄養や食のプロでありながら

とても恥ずかしい思いがありますが、

管理栄養士だからこそ書けることもあると感じて、

様々な経験から得たことを

少しづつ書いていこうと思っています。

 

 

私は以前拒食症でした。

もちろん、もれなく過食症にもなりました。

この2つはセットと考えて良いでしょう。

 

人間の身体は恒常性といって、何につけバランスをとるようにできています。

 

寒いときには血管が収縮しますが、

これは血管内に流れる血液量を減らすことで、できるだけ熱が外に出ないようにして、体温を一定に保つようにする身体の自然な反応です。

 

バランスを欠いた振り子のように、どちらかに傾けばそれを是正するための機能が働くため、極端に痩せると、いわゆるリバウンドが起こります。これは避けようのないものと考えてよいでしょう。

 

私は10代から40代まで、食べては吐くを繰り返していました。

 

拒食症から始まったものですが、痩せようと思ったきっかけは、自分に自信がなかったためです。

 

痩せという殻を被れば、やっと人並み、

中身が空っぽでも、私は他人が羨むように痩せているという優越感、

痩せているという安心感を武器にして、人前に出ることができました。

 

武器なんて、違和感を感じませんか?

 

でも、武器なんです。

 

他人と遊ぶ、他人と話す、歩いていて他人とすれ違う、他人がいる電車に乗る、

他人と接点を持つ以外にも、他人の目に晒されるということだけで、武器が必要になります。

 

自分を守る痩せているという武器がなければ、社会に関わることができなかったのです。

 

 

40代になり、

ようやく私は食べて吐くことから解放されました。

 

解放される起爆剤となったのは、左下腹部にできた腫瘍でした。

 

「左下腹部腫瘍」幸い良性腫瘍でした。

 

腹腔鏡手術で腫瘍を取りました。

 

直径7cmまで成長していて、激しい腹痛に襲われ病院を受診し発見されましたが

ドクターは原因は良く分からないと言っていました。

 

けれど、腫瘍というモノがある以上、原因はあるわけです。

実際は、私にしか分からない腫瘍が作られた「食べて吐く」という原因がありました。

 

 

手術をして、

ようやく私は「自分で自分を傷めつけている」と全てを受け入れ、

腫瘍とともに食べて吐くことから解放されました。

何十年分の自分が浄化されたような気持でした。

 

 

武器なんて持っていたくない、武器を持たない自分でいたい

 

40代、後悔しない自分の人生を本気で考え、本気で行動した時期と、

腫瘍ができて取り除くことができた時期と、

いい感じに偶然であったとしても、

 

 

「自分の人生を本気で生きるために背中を押してもらえた」

「自分の人生を本気で生きるために要らないものを失くしてもらえた」

 

 

そんな勝手な自分の解釈で強く生きられるのなら、

それもいいか、なんて思っています。

 

良性腫瘍に私は救われました。

 

 

続く