摂食障害さんも多様性の流れに乗って!埋もれている貴重な人材がいます!

摂食障害は精神科や心療内科の領域の疾患ですが、

鬱病統合失調症とは異なり、精神障害者手帳の対象となる疾患ではありません。

 

摂食障害者さんでも、精神障害者手帳の対象となる疾患を併発していれば、その対象となるようですが、摂食障害単体では手帳は交付されません。

 

摂食障害さんが精神障害者手帳の対象となる疾患ではないということ、分かるような気もするのですが、難しいところだなとも感じています。

 

経験者である私が何度もブログで言っているように、「摂食障害は人生に立ちはだかる成長のための大きな壁」です。

 

誰もが生きていれば、試練ともいえる大きな壁にぶち当たることがあると思います。その壁を乗り越えることで人として成長できるということを、その乗り越えた経験から学んでいる人は多いと思います。

 

抱いている夢を叶えるための壁、結婚生活や子育てによる壁など、個人によって異なりますが、

その「成長のための壁」が、とある人にとっては「摂食障害だった」ということです。

 

なので、

人として1人前になるためにセッティングされたような摂食障害という壁だから、

精神障害者手帳の必要はないよ」というのも、分かるのです。

 

しかし、

壁を乗り越えるための支援として、精神障害者手帳があっても良いのではないか、という気もしています。

手帳があれば、社会的な支援が受けられるので、気持ちが上向けば自立しやすくなります。

 

摂食障害にも他の病気と同じように、その症状には軽度〜重度など程度があると思っています。

自分の経験や出会ってきた摂食障害さんを通し、以下勝手に症状に「レベル付け」をして少し話をしていきます。

 

「軽度」はいわゆる「痩せたいのでダイエットをする」レベルです。

多くの女性が片足突っ込んでいるレベルなのかもしれません。

 

痩せることへの拘りが強く、太ることへの絶対的嫌悪という意識も強いため、社会で生きていくことに何らかのストレスを感じますが、社会生活は営むことができるレベルです。

 

「中等度」は「健康を損ない、嘔吐するようなレベル」です。

「社会から引きこもってしまう」場合も「中等度レベル」です。

 

軽度と同様、痩せることへの拘りが強く、太ることへの嫌悪があります。

ダイエットは過激化し生理が止まるなど健康被害が出たり、

過激化したダイエットの反動で過食をするようになったり、食べた後の強い罪悪感から嘔吐するようになります。

 

嘔吐は常習化しやすいため、その奇異な行動が止められない自分に自信を喪失していき、社会生活を営むことが難しくなり、引きこもる人も出てきます。

 

「重度」は「医療機関の助けや入院を必要とするレベル」です。

親の適切な保護がなく飢餓状態になっていたり、低栄養に至るケースは命の危険が伴います。

 

そして、中等度のレベルが継続すると「慢性化」します。

 

痩せたい太りたくない病的な意識はそのままに、過食嘔吐が長期に渡り続きます。

なんとか生活ができる人と、生活が難しくずっと引きこもってしまう人がいます。

 

過食嘔吐は依存症というカテゴリーなだけあって常習化して癖になります。

なんとかしなくちゃという問題意識は強く持っていても、どうしても止めることができず症状は慢性化します。

長期に渡り放置すれば「じわじわと健康被害」が出たり、時に「急性期的な被害も現れる」ため実はかなり危険な状態です。

 

この摂食障害レベルで、

軽度レベルの方は何とか社会生活を営むことができますが、

中等度の人・慢性化した人は時に、社会生活に不安を抱き、社会から遠のいてしまうこともあり、まともに働くことができなくなります。

また、重度の人が退院した後も、社会的なフォローがなければそのまま社会からフェイドアウトしていくでしょう。

 

このように、社会から遠のいて引きこもってしまうような摂食障害さんを、「社会的に支援していくような場が現状とても少ない」と思っています。

 

摂食障害は立派な障害であり、精神障害者手帳の対象とならないような、いわゆる軽度の精神疾患というカテゴリーならば、

もっと社会からの支援や受け入れ体制があっても良いんじゃないかと思っています。

私が20代の頃の20年前と、あまり変わっていないんじゃないのかな?

 

今至るところで、人材不足の解消、多様性の尊重ということで、障害を持つ方への社会復帰が進められているので、

とにかくこの今の「多様性」の流れに乗って、摂食障害という病気に対して、「社会からの理解が得られたら」と思っています。

 

働きたくても自信がなくて、「社会参加のチャンス」を逃して引きこもっている摂食障害さん、そんな「貴重な人材」が実は山ほど埋まっていると思うのです。

 

摂食障害精神障害者手帳の対象ではない障害ですし、

注意欠陥多動性障害ADHD)や自閉スペクトラム症などと違い、病名は知られているのに社会的理解はイマイチなんですよね。

 

まあ理解されないですよね。奇妙でしかないし。

ガリガリなのに痩せたいとか言って必死に野菜と蒟蒻の食事を続けてるし、

痩せたいなら食べなきゃいいのに、食べて吐いて勝手にずーんって落ち込んでるし。

 

就労支援など職場のフォローが整わないことは、この疾患が奇妙で、社会的な理解が得られないことも大きな要因なんでしょうね。

 

摂食障害が理解されないのって分かるんですけど、もう本当に多様性に乗っかってほしいんですよね。乗っかるしかないんですよ。

ずっと来なかった流れがきている「チャンス」なので。

 

摂食障害って、「自分が成長するためにセッティングされた試練ともいえる大きな壁」ですが、

その壁を乗り越えるために何が必要かって、「社会との接点」なんです。

「社会を通して人と関わっていくこと」で、様々なことを学ぶんです。

 

摂食障害さんには、そんな「壁を乗り越えるための大切な機会」を逃さないようにしてほしいし、

社会としては、「貴重な人材を育て確保できるように、手厚くフォローしていく体制を整えるべき」だと思うのです。

 

摂食障害の患者数は増加しているので、もしかしたら数年後、摂食障害患者にも精神障害者手帳の交付が適応となるかもしれないという期待もできるし、

そうすれば、手帳を利用した就労支援なども利用できたりするので、支援の幅も広がっていくのかなと思えます。

 

今は「多様性」というワードだけでも立派なビジネスになるので、ちょっと兆しが出れば、ここぞとばかりに摂食障害さんを支援していく事業を展開していきそうな気がしますし、

そんな風潮に個人的には危うさも感じたりしますが、

 

摂食障害さんが「障害を持ちながらも社会参加できる」ような体制作りが進む「多様性」というチャンスが、切り開いていけば良いなと思っています。


今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。