これって「太っている人への社会からのパワハラ」じゃない?と思ったこと

先日職場でちょっと有名どころのお菓子を3つ頂きました。

 

有名どころのお菓子なのでこれは食べなくちゃ損だよねと思って大切に持ち帰り、夜ご飯の後に、食後のスイーツとして美味しく食べました。

 

美味しいお菓子が3つあれば、3つ食べないと気がすまなくなるのは、大量に食べたくなる過食症だった名残りなのか?単に食いしん坊なのか?両方かもしれませんが、食後の満足感と少しの罪悪感でごちそうさまをしました。

 

そしてその翌日、職場の事務員さんが突然「私こういうの苦手だから貰ってくれない?」とデスクの引き出しから昨日のお菓子3つを取り出し、私に渡してきました。

 

私は昨日満足したし、3つ食べてしまった罪悪感もあったので「え、じゃあ1個だけ貰うよ」と言いました。

3つもらったら、私の場合たいてい1日のうちに3つとも食べてしまうのが分かるので、罪悪感もそうだけど、過食嘔吐で弱ってしまった胃に、昨日に続き負担がかかることを避けたかったためです。

 

事務員さんは「いいよ、3つ貰いなよ!娘ちゃんにあげてよ」と言ってきたので、

 

私は「子どもたち2人とも今ダイエッターだから、お菓子食べないんだよね。今朝も下の子が早朝ウォーキングしてて。」と言いました。

 

貰わないための嘘ではなく、2人の娘はダイエット中でした。

 

高校3年の長女はもう3〜4年ダイエッターなので知識もそれなりにあって、

食事だけではなく、毎日自重トレーニング的な筋トレをして、アルバイト先まで徒歩で30分、ファミレスの接客は有酸素運動として捉えていて、

意識して太らない生活を続けています。

(受験生なので時にめちゃくちゃな食生活になっていたりしますが)

 

少し前から早朝ウォーキングを始めた中学3年の次女は、昨年運動系の部活動をやめてから3キロ太ったことを気にして、

数か月前からYouTubeを見ながら脚が細くなるストレッチ&筋トレを始めていました。

 

その次女の様子を長女が見て「生ぬるい筋トレだけで効果が出るわけないじゃん」と言い放ち、

 

「筋トレして脚が締まったとしても細くなるわけないじゃん!ママ、この子何度言っても分かってないんだよね!」

と自分はダイエットできている自信があるので、次女の生ぬるいダイエットが気になるようで私に言ってきます。

 

私は、子どもたちのダイエットがエスカレートして摂食障害になったらという不安は常に持っていますが、

そうなったらそうなったで、阻止することなんてできないので、もう仕方ない、自分の子育てを省みても取り戻せない引き返せない、

我が子が摂食障害だというその現実に対応していくのみだと考えています。

 

この先がどうなったとしても、ここは一先ず、ダイエットしたいという子どもたちの気持ちを応援しなくちゃと思うので、

 

次女には「お菓子を食べないダイエットが1番効果的だよ」

合わせて、

有酸素運動をした方が脂肪が落ちるから筋トレの引き締め効果と同時進行することが効果的だよ」

と基本的すぎるアドバイスをしました。

 

そして次女はその翌日からお菓子を断ち、その後1か月ほど経った数日前から、早朝ウォーキングを始めたわけです。

 

そんなわけでお菓子の行き先の当てが外れた事務員さんは

「えー!娘ちゃん中3でダイエット!?うちの娘(専門1年生)ダイエットなんてしたことないよ!」と驚いていました。

 

そして、私とほぼ同世代の同僚の管理栄養士さんも驚いていて

「今の子って大人なんだね〜私が中3の時なんて1日5食で、友達とマックよく食べてたわ〜」と言いました。

 

2人の驚きを見て、逆に私は驚きました。

 

私は今から30年ほど前の高校1年の夏にダイエットを始めて拒食症になりました。

 

ダイエットをする、痩せたいと思うことに、

今の子も昔の子も関係ないと思っているし、

それは、その子が子どもっぽいとか、大人っぽいとか早熟だとか、そういうのでもないと思っています。

 

今も昔も痩せていることはどうしたって羨望の的です。

若い頃は、「世の中の美の基準」「社会からの目」「自分はどうみられているか」を過度に気にする人が、ダイエットにはまりやすいと思っています。

 

なので、世の中の美の基準、社会からの目が気にならない「私は私でいい」と思える人なら、

ダイエットなんて考えもしない。1日5食で学生生活を送るでしょう。

 

周りを気にしないで生きていける人がここにいたんだ〜

 

という事実に、私は羨ましく思いました。

 

そりゃ、いろんな人がいるので、

普通に考えたら、私のように周囲からどうみられているかを気にして、

世の中の基準からはみ出して社会からバカにされないようにと、

「痩せていることを武器にして、痩せていることで弱い自分を覆い隠していた人間」の方がはるかに少数派なんだと分かるのですが、

 

人間どうしても自分を基準に考えてしまうので、そんな自分とは異なる生き方を聞くと、あ~自分はやっぱり特殊な学生時代だったんだと思いました。

 

誰だって生きていれば「なんで私だけこんな目にあうの?」という出来事に遭遇するんじゃないかと思っています。

 

私は1日5食食べていた彼女に対し、食べることを躊躇せず、美味しい美味しいって食べたいものを何でも食べられていたことになんて平和で羨ましいの!と思うのですが、

 

1日5食食べていた彼女からしてみたら、私はこんなに辛い思いをしてきたのに、あなたはなんて平和で羨ましいの!と思うような事がきっとあるはずなんですよね。

 

私の娘のような10代、今の若い世代の子たちは、どんどんスリムになっていますよね。

 

昨年度、長女の文化祭に行った際にも、太ってるなと思う子も、ぽっちゃりさんだなと思う子も、目につかなかった気がするんですよね。

みんなスリムだなぁと思いました。

 

厚生労働省による国民健康・栄養調査の近年のデータにおいても、20代以下の女性の約5人に1人が、BMI18.5未満の「痩せ」だそうです。

 

例えば、クラスメイトのうち5人に1人が「痩せ」せだとすると、女子高のクラスメイト30人のうち、6人が「痩せ」ということで、これって結構多いと感じませんか?

 

それに加え私の印象としては、BMI18.5未満の「痩せ」ではないけど、BMI適正値18.5以上25.0未満の中の、18.5〜20.0以下くらいがとても多いんじゃないかなと思うので、

 

「痩せ」が5人に1人いる上に、BMI値18.5に近い子が多ければ、全体的にスリムな子が多いという印象を持つのも当たり前なんでしょうね。

 

私の娘のように、みんながみんなダイエットをしているとは思えませんけど、

スマホで簡単に写真や動画を撮って見る機会が彼女たちの日常なので、

自分の外見を常に客観視できるということで、多くの人が自分の容姿を意識するような環境にあるといえますよね。

 

そんな環境の中で、「私は私でいい」と生きていくもの、なかなか難しいだろうなと思ってしまいます。

 

女芸人さんとか、女を捨てたかのように自分の容姿のコンプレックスをネタにしてデビューすることって、「私は私でいい」と生きていく模範的な例だと思いますが、

 

デビューから数年後、痩せて綺麗になって女を取り戻してるみたいなことって結構あって、

 

そんな女芸人さんを見るたびに、

コンプレックスをネタにしながらも、

いや、そのコンプレックスをネタにするからこそ、

「自分がどうみられているか?」という意識がものすごくあって、

 

「綺麗に見られたい」「羨ましいって注目してもらいたい」「女性でありたい」っていう思いが強くあるんだろうなと思うんです。

 

私は私でいいと生きていけたら最高、

私は私でいいとコンプレックスをバネにして輝けたらもっと最高です。

 

どうしたって、多くの女性が「痩せて綺麗になりたい」と思っていて、

若い世代もミドル世代もシニア世代も、それ以降の後期高齢者も、それは今も昔も1ミリも変わりません。

 

なぜ、今も昔も「痩せて綺麗になりたい」という思いが1ミリも変わらないのかというと、

 

結局のところ、

作り上げられた共通の美の価値観に、私たちがまんまとハマってしまうような社会全体の仕組みが変わらないためです。

 

私は中学・高校だった当時、

「太っている人は頭が良いか可愛い子以外、バカにされ虐められる」

と感じ、頭が悪くて太っている自分を否定し、

社会から他人からバカにされないように、「痩せる身体に避難するように」拒食症になりました。

 

こんな風潮は今も当時と変わらず、

「太っている人は成功者以外人権なし」

と感じています。

 

この風潮って多少大袈裟かもしれませんが、

「太っている人への社会からのパワハラ

「太っている人への社会からの虐めじゃない?」

と思ってしまいます。

 

だからといって、

私が社会を変えられるわけでもないので、ただの戯言にしかならないのですが。

 

今回も読んで頂きありがとうございました。