「フードファイター小林尊さんが引退示唆か」という記事を読みました。
米動画配信大手ネットフリックスのドキュメンタリー番組で、食欲が感じられない悩みを抱えていると明らかにし、「健康で長く生活したい。このまま(早食いを)やめていってもいい」と語った。
複数の米メディアは、発言の英訳を基に「健康問題で引退を宣言した」と大きく報じた。
食事と健康の問題を取り上げた番組に出演した小林さんは、他の人が幸せそうに食事をする様子を見て「さみしい。その感覚が俺にはない」と食欲不振に陥っていることを打ち明けた。検査の結果、長年の早食いが脳の働きに影響している可能性を指摘され、引退を考え始めたもようだ。
20年以上におよぶ「競技生活」で約1万個のホットドッグを食べてきたという。その経験を生かし、「日本のヘルシーな食材と合わせて安全でおいしいホットドッグをつくりたい」と話した。
Yahoo!ニュースより
小林さんは今年46歳。
フードファイターを続けていくには限界でしょう。むしろよくこの年齢まで頑張られているなと感じます。
食べるということはエネルギーを使います。
意識にものぼりませんが、身体が弱っていたり病気の時などは、食べ物を口にして咀嚼してゴクンと嚥下することを繰り返すだけで疲労するのもです。
また、食べ物が体内に入ってからも、様々な化学反応が繰り返され、食べ物が最終産物になるまでにもエネルギーを使います。
これが、数十倍、数百倍の強度で繰り返されるのが、フードファイトや大食いです。
フードファイターはアスリート並みに過剰に身体を酷使するので、身体が酸化しやすい状態だといえます。
体内に取り入れた酸素の一部はさまざまな刺激を受け、ほかの分子と結びつくことで体内で「活性酸素」に変化します。
この「活性酸素」は有害物質を除去する免疫機能として働く一方、
過度な肉体的・精神的ストレス、激しい運動、喫煙、紫外線、大気汚染などの影響を受けて過剰に増加すると、細胞を傷つけ、「身体の酸化」を引き起こします。
この活性酸素を抑制するために、ストレスを溜めない生活をしようとかいわれるわけですが、
アスリートにとって必要なトレーニングも、フードファイターにとって必要なトレーニングも、早食いや大食いそのものも、
本人にとってはストレスといった自覚はなく、ただ必要なことを一生懸命しているだけだけど、
とてつもないエネルギーを消費して、とてつもないエネルギーを必要とするため、
身体に与える負荷、ストレスからは逃れられず、その影響はどうしたって大きいということです。
喫煙する人にとって、喫煙はストレス解消という認識でも、身体にとってはストレス以外の何ものでもないということと似ていて、
過剰過ぎた場合それなりの犠牲は覚悟しなければいけないのでしょう。
私は長年過食症だったので、間違いなく過剰に身体にストレスを与えていました。
私にとって過食と嘔吐は生きるために必要で、ストレス解消の意味もあるなくてはならないものでしたが、
身体に負担を強いり、細胞を傷付け、血流を滞らせ、老廃物を溜めさせるものでした。
身体はボロボロ、それでも止められないのことに心も疲弊しました。
小林尊さんは食欲が感じられない悩みを抱え、それは長年の早食いが脳の働きに影響しているとのことですが、
これっていわゆる「摂食障害」だよなと思いました。
拒食症は食べない食べられないことで栄養が脳に行き渡らず、脳が萎縮すると言われています。
また、摂食障害のチューイング(食べ物を口に入れて咀嚼して飲み込まず吐き出す)は、食べ物を口にしたのに身体に栄養が入ってこないことで脳が混乱し、食欲中枢や自律神経に影響すると言われています。
拒食症や過食嘔吐やチューイング、フードファイトも意味合いは異なりますが、食べないことや食べることで「自分の心も身体も追い詰める作業」です。
世界の頂点、世界レベルを維持するために、自分を追い詰めて過酷なトレーニングをされてきた故の、大きな代償なのかもしれません。
小林尊さんのコメント
他の人が幸せそうに食事をする様子を見て「さみしい。その感覚が俺にはない」
この気持ち、すごく良く分かるんですよね。
いつも太る恐怖を抱えて、いつも過食スイッチが入りやしないか緊張しながら食事をしていた摂食障害当時、
普通に食べて、普通に美味しいと感じ、食べながら無邪気に笑っている人達が本当に羨ましかったことを思い出します。
食べ物を美味しいと感じられることは本当に幸せなことです。生きていると実感させる喜びです。
小林尊さんがストレスから身も心も解放され、余裕を取り戻せた時、
ある時ふっと沸き起こる食べたいという思い、美味しいという感情に、「生きている」と実感できるだろうと思います。
身体を追い詰めた人、大きな病気をした人でも、自分を大切にしようと改められず、何ひとつ生活を変えられない人はたくさんいます。
「健康で長く生活したい。」
「日本のヘルシーな食材と合わせて安全でおいしいホットドッグをつくりたい」
自分の命を削り、自分の限界と闘って見えてきたものがとてもシンプルなことに、「人間の原点」を感じます。
小林尊さんはこの先、自分も周囲も大切にしようというステージに入るのでしょうね。
安全で美味しいホットドッグ食べてみたいですね。
これからも頑張ってほしいなと思います。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。