摂食障害と母子関係・社会時代的背景~私の個人的な考えです~

拒食症や摂食障害は母子関係、家庭環境と関連があるのかということについて

 

拒食症や摂食障害の原因や症状も、時代によって変化していくと思っています。

 

 

昔、拒食症という病気は、比較的裕福な家庭で育った学歴高い思春期のお嬢様がかかることが多いと言われる病気でした。

 

そして、拒食症や過食症になる子の親は過保護か放任という子育てをしているという、ほぼ仮説のようなものが立てられていました。

 

過保護の場合

「良い子でいなさい」「この大学に入りなさい」「あなたはこうあるべき」と

親は子どものため、子のためといっても自分のためだとしても、それをよかれと思って子を監視して操縦して、親の理想を押し付けます。

 

子は、親の期待に応えようと親に嫌われまいと、本来の自分、あれをやりたいこうしたいを押し込めてひたすらに真実ではない自分を貫こうとします。

 

放任の場合は

裕福な家庭なので、愛情の代わりにお金を渡して何でも解決をはかるという感じです。

 

子は非行に走るようなパターンではなく、そこはやはり親が求める「良い子」であろうと寂しさを押し込めて、「本当にあなたは文句ひとつ言わない良い子ね」と言われるような育ちになります。

 

両者とも、適切な愛情をもらえなかった

という点では共通しているようです。

 

これを

今の社会・時代背景に当てはめると、多少無理があるなと感じます。

 

 

SNSの普及によって美容のこと、痩せること、ダイエットに関わる情報が簡単に手に入れられることや、

痩せることやダイエットすることへの取り組み方も多種多様で、ダイエット方法も選びやすくなったこと。

ダイエットは趣味とか、痩せることを意識するのは常識のような感じで

取り組むまでのハードルも高くありません。

 

昔より、誰でもダイエットに取り組みやすい環境になったとも考えられます。

 

ダイエットの入口が大きくなると、

相対的に病的なまでにストイックにのめり込む拒食症が増えると考えられますが、

 

そこに、裕福だとか学歴・家庭環境・性別は関係しないでしょう。

 

 

適切な愛情というのも難しい。

 

愛情って、はかる尺度がないから

例えばBMI値のように数字を用いて、

この数字からは不足、ここからここまでは適正、この数字からは過剰

という感じで判断することができません。

 

愛情を受け取る側の主観、感覚でしかないので、

とても分かりにくい。

 

 

親が子を虐待して事件になったり

子が他人を傷付けるなど問題を起こして

 

そこで始めて「愛情の尺度」が検証されて

 

「歪んだ愛情・愛情の欠如・過剰な愛情」を受けたゆえにこうなったと

事件に至る原因のひとつであるとされる

 

「後付け要素」が高い気がするんです。

 

うちの子は良く育ったわ

と思っても、

成人してしばらく経ってから問題を起こすと、甘やかして育てたからだと避難されて

 

暴れまくって他人様にたくさん迷惑かけた反抗期には親がちゃんと見てやらないからだと避難されるけど、

社会に出て真面目に働くようになったりすると、子どもを信じて育てたのね

なんて翻ったりします。

 

子どもから導き出される親の子育ての正解・不正解、愛情を与えた与えなかったかの答え合わせは、いつできるのでしょうか。

 

成人して社会に出てから何か過ちをしたとしても、

それは親の子育てがそもそも根本的な原因だ、なんてことになるのでしょうか?

 

今は家庭の形が多様化しています。

 

シングルマザーも増えている

文化の異なる国際結婚も増えている

一般的な夫婦の立場が逆転している家庭「お父さんが家のことをやって、お母さんが稼いでくる」も昔より増えているでしょう。

 

そんな多様化した家庭で

愛情の過不足をはかることは困難です。

 

拒食症や摂食障害になった原因を

「母親から適切な愛情を与えてもらえなかったからです」

「家庭環境に問題があります」

といわれても

「後付け」でしかないように思えます。

 

 

社会・時代背景によって捉えられる事象は異なります。

 

私は痩せることで「私を見て!」とアピールして

母の注意関心を引くことができました。

婦人科に連れて行ってもらえることで

母の愛を獲得しました。

 

 

母と二人で電車に乗って、婦人科に行くことが嬉しくて仕方ありませんでした。

 

幼い頃の母から愛情をもらえなかった

かもしれませんが、

それも後付けです。

 

はかる尺度、愛情の過不足が当人の感じ方でしかないのですから、正確なことはわからないのです。

 

また、多くの病気が単体ではなく複数の要因が重なることで発症するように、

拒食症に至る原因も、ひとつではない可能性があります。

 

社会環境のストレスから自分という人間に自信がなくなり、

本来自分を無条件で守ってもらえる存在

母親の愛情を求める気持ちがより強くなる

ということも考えられます。

 

ちなみに、自分はこのケースだと思っています。

 

昔、自分が抱いたように

「私が苦しんだのは母のせいだ」

と解釈するのは、自分に非がなくてラクなのですが、

 

もちろん全てとは言えないけど

勝手に情報が飛び込んでくるような今の時代に、あまりにもミスマッチです。

 

拒食症や摂食障害は母子関係、家庭環境と関連があるかもしれませんが、

後付けでしか実証できず

社会面・時代背景も複雑に絡んでくるものだと思っています。