あなたが大好きな気持ちを原動力にする。

人を大好きでいる気持ちって、大きなエネルギーになりますよね。

感謝して安心して信頼して尊敬する大好きな気持ち。

 

いつまでも仲の良いご夫婦っていいなって思います。

相手への不満や文句を口にしつつも、

相手への感謝と敬意と思いやりが見え隠れするご夫婦って、

羨ましく思います。

 

いやちょっと違うな、そうだな

正確に伝えるなら、

そんな風に年を取ってまでも仲の良い「老夫婦」が

ほっこりと愛らしくて羨ましいなと感じる、

私の憧れの対象なのです。

 

そう思うのは、

私が高齢者と接している仕事をしているからかもしれないし、

私自身がシングルであることも大いに関係していそうな気がするのですが、

仲良しの老夫婦を羨ましくさせるのは、

私の両親にあるような気がします。

 

 

私の父は胃癌で亡くなったのですが、

癌が見つかった時には既に末期だったので、

手術で胃を切除するために開腹した時には

他臓器への転移で手の施しようがなく、

余命半年ないと言われました。

 

父の闘病は在宅で、母が看病していました。

なので、

父の最期は私と母で看取ることができました。

 

父も母も私も大好きだったパン屋さんで、

経鼻栄養となっていた父のぶんだけはもう買う必要なくなったけど、

お昼に食べる用のパンを買って、

父の顔を見に行ったその日、

 

「昨日まで元気にお話もできたのに今日は様子がおかしいの」

 

と母が言う通りに父はその数時間後に息を引き取り、

 

それはないでしょう?

と思われるかもしれませんが、

 

「お父さん、あなたが来るのを待ってたのよ」

と母が言うのなら、

 

父は私が来るのを待ってから亡くなってくれたんだと

そうじゃないかもしれないけど、

その通りのような気がしました。

 

 

女性は男性よりも長寿傾向です。

 

傾向としてシンプルに考えて、

女性の場合は

年下の男性と結婚しない限り、自分がパートナー男性を看取る可能性が高くなる

 

男性の場合は

年上の女性と結婚しない限り、自分がパートナー女性を看取る可能性が高くなる

と考えられます。

 

 

人間おぎゃーと生まれる時には、

母親の胎内から広い世界へ出る共同作業であるのに、

 

死にゆく時は、

包まれ保護されている子宮はなく、

また違う広い世界へ旅立つというのに、

あうんの呼吸で押し出してくれるものはなく、

自分単体です。

 

 

長いようで恐らく短く感じてしまう人生の最期を

 

どちらかが見送って、

どちらかが見送られる関係って、

愛する人を見送って、

愛する人に見送られる関係って、

 

自分単体ではあるけど、

この世界への執着をなくすための満足感、

広い世界へ旅立つことへの決意を与えてくれる

とても尊いことだと感じるのです。

 

 

そんなことを私は考えているから、

死ぬことめがけて生きている

と言ったらちょっと語弊があるけど、

「幸福感を抱いて死ねるように生きていきたいな」と思っています。

 

このことは多分きっと、

本当に私の願うことなので、

 

仲良さげな老夫婦を見かけると、

いつまでも寄り添っていて欲しいなと心から願うし、

お互いがいつまでも健康であって欲しいなとも願います。

 

人間の持つ感情のエネルギーは果てしないと思うので、

そのエネルギーを原動力に、

 

多くの人が少しでも長く、

大好きな人と一緒にいられる時間が続いてくれたらいいなと、

そんなことを、時折ぼんやりと思っています。